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2014.01-

文化に触れるとき

 知識など持たずに、まっさらな状態から日本の文化に触れて、率直に「おもしろい」と思う機会が増えている。相撲、梅の鑑賞、落語、神社めぐり。単に「歳をとったから」なんだろうけど、なかなかその事実が嬉しい。静かにわくわくする、そんな気持ちが少なからずある。

 歳をとっていいことの一つは、「めんどくさい」という感情があらゆる方面にセーブをかけてくれることだと思う。若いとき、無駄に体力があるときは、たいてい間違った方向にせっせと励んだ。

 昔であれば、感情的になった自分の対処法を知らずに、むだに四方八方にあたり余計に事情を複雑にした。いまなら、仕事でくだらないことに巻きこまれても、少しはさらりと交わせるようになった。凛とした態度でいると、逆にくだらないことを仕掛けてきた相手が、落ちる。相手に対する、周りからの評価がぐっと下がるだけで、自分の評価はなぜか上がる。学生時代はこういうことを知らなかった。幼かったんだろう。自分の中では、特に精神力を強めたとか、教養を身につけたということはない。単に歳をとったからだろう。こういう小さな変化が嬉しい。

 もう一つ良いことは、「近くにいる他者」に対してその瞬間だけを見て判断することはせずに、何十年の流れの中の一コマと見れるようになった。タイを放浪中によく読んでいた、芥川賞作家の作品では、女性を描くときに全ての作品に共通していたことが「女性を点ではなく、線としていること」だった。まさに、あのような感覚だ。人間なので、「良いときもあれば悪いときもある」ということを自身が身を以て体験したからこそ、「近くにいる他者」に対しても受け入れ続けることができる。 

  

 「めんどくさい」から生まれたこの2つの効果が下地となって、文化を受け入れる基盤ができたのかなと思う。余計なことにせいをだしていた部分がぽっかりと空き、その部分に文化を受け入れる空間ができた。

  さらに10、歳を重ねるとまた違った変化があるんだろう。そういった小さな変化を受け入れて、しっかり見ながら、静かに歳を重ねていきたい。