読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

sksb log

2014.01-

村木厚子さん。

 寿命を前に、祖父の精神力、気力に触れ、これを「戦争経験者だから」という一言で片付けてしまってよいのだろうか。いつの日か私にそんな精神力がつく日が来るのだろうかと、ぼんやり考えながら博多土産を福岡空港で探していた。

 テレビに目をやると、それまで無意味な国会中継を垂れ流していたNHKが、突如その時間帯には珍しく南国の風景を映し出していた。南国の風景だが、なんだか物々しい雰囲気であった。

 天皇皇后両陛下がペリリュー島にある慰霊碑に、日本から持参した菊の花を手向けたとき、傍らを見ると、見覚えのある顔があった。それが村木厚子さんであり、不思議に思いぐぐってみると、慰霊碑の修復や戦没者の管轄は厚生労働省であったことを知恵袋で知った。

 

 

というわけで、彼女の強さとはいったいどのようなものか見たいと思い、さっそく読んでみた。1時間もせずに読み切れる。彼女の強さとは、最初から勝とうとしないところかなと感じた。

自然体でいられる人は、やはり強いなぁ。

 

 「勝つ」「勝ちたい」という言葉は自分の頭に浮かんできませんでした。そうではなく、「負けない」「負けたくない」という言葉が常に私の中にありました。それは、たぶん、私は戦って勝ち上がってきた人間ではないので、「勝つ」ということへの執着がないからでしょう。

 私が社会人になった頃は、女性はコピー取りやお茶汲みをやるのが当たり前で、男性よりも昇進のスピードも遅いのが仏。子どもを持っている女性の先輩は、親と同居の人が多いのですが、うちは夫婦だけで子育てをしていましたから、常にハンディを背負っていました。なので、何事も「勝てる」とは最初から思っていない。職場に迷惑をかける状況になったらあきらめるけど、それまではがんばって、やれるところまでやてみよう、という感じでやてきました。局長や次官になったではないか、お前は勝ち組だと言われるかもしれませんが、昇進というのは結果なんです。たまたまポストが空いたとか、たまたまやった仕事が評価されたとか、「たまたま」が重なった結果、今の立場があるだけ。私が勝ちを取りに行ったものとは違います。子どもの病気等、これまでの間にも、仕事を続けられるかどうか分からないというピンチは、何度もありました。だから、今回のような不利な状況から始まる戦いには慣れていた、と言えるかもしれません。(p109)

 

 昇進も結果というのは、納得。社会人2年くらいしてみると、案外「ポストが空いたから」という理由で昇進する人は多くいたりする。こういう感覚を知れただけでも、社会人を経験して良かったかな。